生い茂る森の詩

考えたことをポツポツと詩や文章にして。

うたかたの声

 

落ち込んでると泣いた文面
赤らむ頬は 寒いからじゃない
勇気を出すときだ
あなたが呼んでいる
指が震えていたのは
緊張を隠せなかったから

 

足踏みしながら 手袋握って
耳に押し付ける あなたの名前
3回目のコール 答える低い声
上ずった声は 白くなって宙に浮く

 

あの夜となりに誰かがいると
教えてくれなかったのは なぜ
雪が涙に溶けていった
私の言葉を あなたが
待っていたわけないでしょう

 

元気づけたいと笑ってみせた
夜空がかき消す 私の叫び
軽やかに言うんだ
きっと大丈夫
足踏み止めないのは
不安を消したいから

 

あの夜 私に本当のことを
教えてくれなかったのは なぜ
悲しい夢だと わからずにいた
私のことを あなたが
愛していたわけないでしょう

 

あの夜 私が本当のことに
気づけなかったのは なぜ
優しい言葉で 包みこんだ
あなたの嘘を 私は
疑えたわけないでしょう

 

『うたかたの声』