生い茂る森の詩

考えたことをポツポツと詩や文章にして。

彼女はゆっくりと泳いでいる

 

彼女はゆっくりと泳いでいる

まるでこの世のすべてを見据えたかのように

 

白い肌には傷ひとつない
丸く小さな目は 子供のようにあどけない
しかし その大きなからだには
誰も近づかない 誰も触らない
周りを泳ぐのは小さな、小さな、魚たちだけ

 

彼女はゆっくりと泳いでいる
まるでひとりで生きているかのように

 

人魚のようだと人は言った
短いひれと丸い姿に癒されると人は言った
しかし その女神のごとき微笑みは
誰も見ていない 誰も気にしていない
彼女が進むのは前に、前に、ただそれだけ

 

彼女はゆっくりと泳いでいる
まるで悲しみも知らないかのように

私はかぐや姫

 

満月見上げて 思い出す
故郷の暮らし 喜びを
地球はあまりに 生きづらく
輝く月に帰りたい

 

私はかぐや かぐや姫
月から舞い降り 地球(ここ)にいる
私はかぐや かぐや姫
故郷を捨てて 地球(ここ)にいる

 

悲しいことなどへっちゃらで
何を言われど 傷つかない
地球の男(ひと)など 好きじゃない
だけど 独りは 肩身が狭い

 

私はかぐや かぐや姫
彼女たちとは 土俵がちがう
私はかぐや かぐや姫
月にはフィアンセいるはずよ

 

媚びへつらって生きるのは
地球(ここ)の女の得意技
無知で子供で、すっぴん顔は
地球(ここ)の男の理想像

 

私はかぐや かぐや姫
ここで生きると決めたのだから
私はかぐや かぐや姫
一人で歩むと 覚悟を決めた

 

上手く生きたい 嘆く友
私にそれは わからぬ悩み
幸せ欲しい 叫ぶ友
それはあなたの意志次第

 

あなたはかぐや かぐや姫
つまらぬ男(ひと)など捨てなさい
あなたはかぐや かぐや姫
つれない男(ひと)など諦めなさい

 

 

『私はかぐや姫

幻を見せた人

 

色づいては落ちる銀杏並木 仰ぎ眺めて
もう冬になりますねとため息ついた

 

きっと春になれば青々と葉がつくから
楽しみに待とうと微笑んで見せた

 

あの日は嘘でしたか
それとも私の夢でしたか
あの声は 目は
あの優しいぬくもりは
ふいに俯いたあなたの横顔は
どこか悲しそうに見えた

 

足跡をかたどった 溶けかけの雪は
おろしたての靴に まとわりつく

 

すべらないようにね 背中に低い声
ふりむき見えたのは 白い息の後

 

あれは幻ですか
それともあなたの言葉
あの日々は あなたとの思い出は
いつの間に雪は雨にかわって
私の頰 濡らしていた

 

美しい恋と呼ぶには少しだけ
あなたに何かを 求めすぎていた

 

『幻を見せた人』

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