生い茂る森の詩

考えたことをポツポツと詩や文章にして。

彼女はゆっくりと泳いでいる

 

彼女はゆっくりと泳いでいる

まるでこの世のすべてを見据えたかのように

 

白い肌には傷ひとつない
丸く小さな目は 子供のようにあどけない
しかし その大きなからだには
誰も近づかない 誰も触らない
周りを泳ぐのは小さな、小さな、魚たちだけ

 

彼女はゆっくりと泳いでいる
まるでひとりで生きているかのように

 

人魚のようだと人は言った
短いひれと丸い姿に癒されると人は言った
しかし その女神のごとき微笑みは
誰も見ていない 誰も気にしていない
彼女が進むのは前に、前に、ただそれだけ

 

彼女はゆっくりと泳いでいる
まるで悲しみも知らないかのように