生い茂る森の詩

考えたことをポツポツと詩や文章にして。

走者

 

一人で生きる覚悟を決めた
もう誰もいらない
誰も信じない
そう言って蹴った空き缶は
音も立てずにどこかへ飛んでいった

 

誰も止める人などいないさ
集団離れていく奴なんか


言葉待っているのは無駄だ
舌打ちしても意味はないから
何も言わずに走り出した

 

自分勝手だ おかしな奴だ

囁く声と冷たい視線
飛んでくる矢はもろに当たって
引き抜けば血が溢れ流れた

 

どこへ行くかはわからない
そんなの誰にも決められない
傷だらけの足 振り切る涙
失うものなどもうないくらいに
守るものなど1つもなかった
それでも走ると僕は決めた
一人で走ると僕は決めた

 

ときどきふと蘇る記憶

はじける笑顔 抱きしめ合った日
思い出なんて1つもないと
言ったら確かに嘘かもしれない

 

だが過去を振り返って立ち止まるのは
未来を捨てるのと同じことだ
今を生きぬのと同じことだ
過去に語りかけても意味はないから
前だけを見て生きることにした

 

薄情な奴だ 裏切り者め

背中にとんできた言葉の刃
どこにも居場所が無いのなら
僕が生きるここを居場所にするよ

 

誰も止める人などいないさ

今ではそれが好都合なんだ

 

どこがゴールかはわからない
そんなもの初めからないのかもしれない
向かい風に吹かれ 登り坂ばかりで
それでも走ると僕は決めた
一人で走ると僕は決めた

 

『走者』